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屋根縁切り部材 タスペーサー
2018.4.6更新 |
目次 |
2.屋根の構造 |
なぜ縁切りが必要なのかを知るために、まず屋根の構造について説明します。 |
1.下地(コンパネ)野地板を張ります。 2.防水シート(ルーフィング)を張ります。 3.屋根材を下方部から一枚ずつ釘で打ちつけます。 |
屋根材を打ちつけた釘が下地(コンパネ)野地板を貫いて、 家の天井裏につきぬけます。 |
屋根材をお手入れをせず、放っておくと、塗膜が劣化し、防水性を失います。 また、波板形状に反ってくることがあります。 破損しやすくなる要因にもなります。 |
屋根材を取り外すと、全体的にかなりの腐朽が進行しています。 水平方向の隙間が一定以上確保されていない場合、内部結露と、毛細管現象により吸い上げられた水分が野地板に侵入し、腐朽は進行します。 |
毛細管現象はどのように起きているのかを確認するため、実験装置を使用して確認します |
この実験装置は、野地板を「アクリル板」、 スレート板屋根材を「板ガラス」を使用し、 屋根勾配は、0~6寸勾配で値を変えて測定が出来ます。 上から3段は、実際のスレート屋根材を使用し、 4段目から板ガラスにして、「4寸勾配」で「隙間0mm」のところにタスペーサーを挿入し隙間「2.5mm」を作りました。 実験は無風状態で、水量0.04L/Sの条件で装置上部から放水しました。 |
縁切りしていても、隙間が不足していると、毛細管現象によって水が吸い上げられます。 |
隙間を一定以上確保することで、この水分の吸い上げを軽減することが可能になります。 野地板の経年劣化の軽減にもつながるため、適切な通気性を確保することが大切です。 |
3.従来の縁切り工法 |
縁切りは、 塗装完了後に工具を使用して隙間を開けます。 |
▼縁切りの様子です。 適度な通気性を確保し、屋根材の腐朽を予防する目的には変わりありませんが、 タスペーサー工法と比べると、デメリットが目立ってしまいます。
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4.タスペーサー工法 |
タスペーサー工法は、従来の縁切り工法に比べると、下塗り後に手で挿入するだけなので、作業時間が大幅に短縮できます。 |
▼タスペーサー02挿入図 |
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▼タスペーサー03挿入図 |
5.タスペーサーの挿入方法 |
1.下塗り(シーラー・プライマー) | |
2.タスペーサー挿入 | |
屋根材の組み合わせ目から水平方向の15センチくらい離した左右に挿入します。 |
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3.上塗り塗装 | |
上下重なり水平方向のダメ込みを行った後、ローラーを水平方向に使って塗装 |
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エスバッター(縁切りの工具)を用いて挿入する場合 |
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タスペーサーの挿入しづらいところ、前回塗り替えた塗膜が屋根材の上下に密着しているところは、エスパッター等で隙間を開けてから挿入します。 |
6.タスペーサーの安全性について |
割れやすいといわれることがありますが、タスペーサーの適正な挿入箇所で、急激に加重を加えたりしなければ、割れることはありません。 |
7.タスペーサーが取付られないケース |
2006年9月から屋根スレート材に石綿(アスベスト)の含有が禁止されました。 無石綿スレートの初期製品の一部に脆弱な商品があり、タスペーサーの設置によりひび割れを誘発するおそれがあります。 専門家に屋根材を見てもらいタスペーサーの取付が可能か確認する必要があります。 |
8.最後に |
化粧スレートを塗装する際には屋根の塗膜縁切りは絶対に必要な工事となります。 どの工法が適切か説明責任を果たす業者に依頼するのがベストです。 |